2020.10 Farm report


見渡す限り真っ暗な田んぼの中、等間隔とは言えない距離で並んだ街灯の明かりだけが遠くに見える。

在来農場での出勤風景はこんな感じです。


10月に入り、朝晩の気温は心地よさを通り越し、肌寒さから『もう冬だな』と感じることも増えました。

気温の変化と同様に日の昇る時間も遅くなり、在来農場では朝の出勤時間が変わりました。
まだまだ暑かった頃の4時半から、5時、そして5時半へ。

日の出の時間に合わせて少しずつ遅い時間になっていきます。



「遅い時間」といっても周囲は真っ暗。
街灯の真下でもない限り、お互いの顔もよく見えません。
そんな中、農場のスタッフは集まってきます。

そこから各々畑へと車で移動。
途中、ホットの缶コーヒーを1本奢ってもらっていると、次第に夜が明け、あたりが朝焼けに包まれていく。そうして畑作業は始っていくのです。



在来農場ではレストランへの出荷のため、日々ケールの収穫を行なっています。


視界一面に広がるケール畑。1列に並んだケールの畝。

その間を進みながら、1本ずつケールの状態を確認して、出荷に適した葉を摘んでいきます。


収穫作業を進めていくと、自分の両腕がだんだんと袖口から濡れていくのを感じます。

よく見ると、ケールの葉には朝露がしっかりと滴っていて、今が夜明けであることを再確認します。



朝焼けに照らされながら、ケールの葉を見ると、1枚1枚状態が違います。


大きな違いは葉の表面。


ツヤのあるもの。白くくすんでいるもの。


スタッフが収穫しているのは、白くくすんでいる方。
こちらが出荷に適しているケールの葉です。

一見、ツヤのある方が元気に見えて若々しいのかと思いきや、実はこっちが“おじいちゃんの葉っぱ”なんだそう。


それならこの白いくすみは何なのか?

よく「農薬じゃないか?」と間違えられますが、そんなことはありません。


この白いくすみは“ブルーム”というケールが生み出す成分。

水分の蒸発や外部からのダメージを防ぐために、ケールが自分自身で身にまとうのです。


ブルームをまとった葉では、朝露が葉の表面で弾かれ、雫のように細かい粒となって点在しています。

この光景が朝の日差しと相まってすごく綺麗に見えるのです。


余談にはなりますが、こうやって文章を書いていると、ときどき「作物」とか「商品」という言葉を使います。

その言葉自体は全くもって一般的だし、実際に使うことも全然あるけれど、たまにしっくりこないこともある。


白くくすんだケールの葉を見ているとそんなことを思い出します。


ブルームは農薬ではないし、人が意図的にまとわせたものでもない。

ケールが代々命を繋いでいく中で、自分たちで必要と感じ、生み出したもの。


ケールもしっかりと生きているのです。


作り物でもないし、商いの品と言うのも少し違う。

そういった部分をやっぱり大事にしたいなと改めて感じます。


11月にはコールドプレスジュース用のケールの収穫が始まります。

夏に種を播いたケールたちにとって、一生の集大成である“収穫”の様子を来月はお伝えできそうです。