KALE FARMでコールドプレスを商品化するに当たって、私たちはなぜ土作りからケール栽培を始めたのだろうか。
掲げているミッションは
「人類にケールを。」
では、苦いというイメージの先行するケールをどのように多くの人から愛される野菜へと変化を遂げるのか、まさに悪戦苦闘中である。
野菜ってなんだろう。
普段、野菜を食べよう、と思い立った時、多くの人はスーパーへ向かうであろう。野菜を手にとって、レシピをなんとなく頭に浮かべて、お会計。
あるいは料理が苦手だったり、時間の余裕のないひとであれば、コンビニで野菜ジュースを手にとり、食事のお供にすることもあるだろう。
多くの人は、手に取った野菜や市販の野菜ジュースが店頭に並ぶまでの経過を気にしないのかもしれない。それは、全くを持って否定的な事ではなく、従来の生産、流通の型にはめた途端、見えなくなってしまうものだ。
だからこそ、農家である私たちが発信していかなければならない事が山積みだ。
例えば、「人参を描いてみて」とペンを渡すと、多くの人が二等辺三角形の形を線でつなぎ、チャーミングな葉っぱを付け足すかもしれない。
農家である私たちからするとそれは、「人間を描いてみて」と言われて表情のない棒人間を書く発想となんら違いはないのである。
*なぜそのようなイメージが付いているのかは、改めて「F1種」と「固定種」の違いに付いて記す時に詳しく説明したい。
私たちの使命
ケールの生葉は未だ、皆さんの想像しにくい野菜でもあるので人参で例えたが、無論、ケールも同じである。
時期、天候、湿度、根の張る土の条件、虫食い、病気。
さまざなま過程を経て、試行錯誤する人の手があるからこそケールの葉はたくましく育つ。
つまり、一枚一枚が人の個性と同じようなものだ。
私たちがそれらを愛さないわけがない。
コールドプレスという一つの商品になり、嬉しいことに多くの方々に飲んでいただく機会も増えた。
実際に
「好きな味ではないので、解約したいです」という声もある。
もっと飲みやすく、ケールのコールドプレスの糖度をあげることももちろん可能だ。
しかし、同時に私たちが小さく可愛らしいケールの芽から観てきたケールの味は消え、57種もの数を含む栄養素も薄まることは安易に想像できる。
駆け出しの私たちは日々自問自答する。
「人類にケールを。」
を達成するために
「私たちは何を伝えるべきなのか。」
推し付けでもなんでもなく、育て上げたケールを私たちと同じように愛してもらうには。
理想は溢れるばかり。
全てのお客様に、プロダクトという一つの着眼点だけでなく、その前、いやそのもっと前から、成長過程を知ってもらい、ケールの個性や生命の味として体験を得て欲しい。
理想を現実にする物語は始まったばかりだ。